20人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
コスモスの咲く季節に、私はまたあなたを見つけた。
***
夕焼け空に流れる秋特有の薄い雲を見つけると、風に揺れる小さな花たちを探してしまう。
その花は同じ形なのに、それぞれ違う色の花を咲かせている。
中央は筒状の黄色。花弁は、オレンジ、桃、白、赤色。
花の名前は、コスモス。
コスモスを見つけると、私の足は自然とそこへと向かってしまうのだ。
今日も導かれるように、一面秋色に覆われたコスモス畑のそばへ歩いていくと、風に揺らされたコスモスが一斉にこちらを向いた。
私はスッと息を吸う。
見える景色も、届く花の匂いも、全てあの時と同じだ。
次の角を曲がれば、あなたと出会ったバス停がある。
変わらないな。
このバス停は、コスモスたちの陰で、いつも一人で佇んでいる。
私は、バス停のポールに手を置いて、あの日のことを思い出していた。
最初のコメントを投稿しよう!