0.プロローグ 元勇者のボヤき

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0.プロローグ 元勇者のボヤき

 私、アラストリテ・デ・ファルマは二十年ぶりに王宮に呼び出されてしまった。  理由はわからない、使者はそのまま早馬で帰ってしまった為聞く間もなかった。  私が勇者と呼ばれたのは二十年も前、勇者パーティー選抜のための大会で優勝し、実際に魔王を封印し褒美として首都郊外のちょっとした領地と数代前に失われた家名と取り戻してからはちょっとした領地を利用した農家兼小銭稼ぎの冒険者として単独で受けられる範囲の依頼のみを受けていた  受ける依頼は魔王封印に比べれば格段に危険度も報酬も落ちるが家族がいて、領地もある自分にはちょうどいい仕事、作物荒らしの退治とか、盗賊退治だったし、そんなに遠くまで行くこともないので馬もいらない生活をしていた。  なのに、なんだあの伝令は!  いきなり王宮に来い、といわれても。伝令の使者のごとく馬もない私が王宮に行くのに何日かかると思っているんだ、あのバカ王子、いや、すでに国王か。  家名を復活させてしまったために一番下のとは言え貴族だから王命に逆らうわけにもいかないし取り合えず途中で馬を調達することにして、出発しなくては・・・ヨメさんに小遣い前借りしないと馬も借りれないじゃないか・・・はぁ。
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