最終話

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私の目の前で祖母の口から髪の毛に続き、体が裏返るように全く別の血みどろの人間が出てくる。 「村野…美奈子……!!」 私はようやく絞り出すような声で名前を口にした。 体をつかむ祖母の手がはなれて、私の目の前には人間の体が完全に裏返った悍ましい血みどろの遺体と、そこから現れた血塗れの人間……いや、化け物が立っていた。 私の前に立っている美奈子……化け物……それが俯いていて血塗られてぬらぬらとした髪に隠れた顔を上げた。 なんて奇麗…… これが生前の美奈子なのか。 血塗れでも戦慄するほどの美しさだ。 その美しさは今まで見たことがない、恐怖すら感じさせるほどのもので体の震えが止まらない。 真っ赤な唇が笑みを浮かべて吊り上がる。 美奈子が私に歩み寄ってくると、近付くたびに白い肌が土色になり、腐り、体から虫がわき出てくる悍ましい姿に変わっていく。 耐えがたい腐臭が室内に充満した。 「死をもたらす者」を前にして、全身の血管が収縮して満足に呼吸もできないまま心臓を握りつぶされるような感覚を覚えた。 「あああ……」 もはや声すらも出せない私は必死に懇願した。 助けて!助けて!助けて!助けて!助けて!…………
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