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第2章 皇子の舞
灑麗の第一皇子である灑恍燕は一国の主の息子として申し分無い才能を持ち合わせていた。
文武両道で詩を詠ませれば誰よりも優れており、剣や弓の腕前は宮中一だとも言われる。
しかしそんな彼も今では『放蕩皇子』と呼ばれている。
「恍燕様ー!恍燕様はどこにいらっしゃるのだ!」
「さあ、さっきまでそこで寝てらしたのですが」
「ったく、あの皇子にも困ったもんだ。ふらふらといろんなとこをうろつきやがって」
家来達に文句を言われているのはまさしく灑恍燕その人である。しかし、彼の怖い所は_____
「そこの者、それは誰の事かな?」
「こ、恍燕様」
いつの間にか家臣の背後に立っている。これでは家臣達も気を抜けない。
「私がどこをうろついていると?」
「いえ、その...」
恍燕はしどろもどろになる家臣を見てニヤリと笑った。
「たしかに私はうろついていたよ?」
「あ、そうですよねぇ」
へらりと家臣は笑う。ここでとどめの一撃。
「書庫を、ね。学ぶのは悪いことなのかなあ」
「へ!?そ、それは申し訳ございませんでした!」
「励みたまえ」
しどろもどろになる何人かの家臣の肩をポンポンと叩き彼は出ていった。
扉が閉まった後、彼はまたニヤリと笑い「嘘に決まってんだろ」と呟いた。
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