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青蓮(しょうれん)家
高い木が立ち並ぶ森の奥へと突き進むと、大きな洋館が現れる。
激しく雨風が吹き荒び、雷鳴が轟くこの夜に、この洋館で一つの命が誕生した。
雷の音に負けないほどの大きな産声を上げて生まれて来たのは、輝くような美しい男の子。その部屋にいた者は皆んな、その愛らしい赤ちゃんの誕生に喜んでいた。
「リリカ、よく頑張ったな。とても可愛い子だ。おまえに似て、きっと美しく成長するだろう」
そう言って微笑むのは、この洋館の主の青蓮(しょうれん) ルイ。180㎝以上はある長身に引き締まった身体、角度によって青く見える黒髪を後ろに撫で付けて、自信に満ちた端正な顔は、会う者すべてを魅了する。
「でもこの子の黒髪はあなた譲りよ。あなたのような凛々しい男に育ってほしいわ…」
透き通る美しい声で囁くのは、ルイの妻の青蓮 リリカ。背中に広がる豊かな亜麻色の髪が、電灯の光に反射してキラキラと輝いて美しい。白い優しげな顔は、まるで少女のように可憐だ。
「この子の名前はルカだ。私たちの血を引くこの子は、きっと美しく変身するに違いない」
「そうね…。ルカ…、私の可愛いルカ…」
リリカが、隣でスヤスヤと眠るルカの小さな手を優しく包む。このあまりにも愛しい存在の誕生に、彼女の胸が熱く震えて、涙が一筋、白いほおに流れ落ちた。
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