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プロローグ
ぼくの名前は永山 蒼介(ながやま そうすけ)。
どこにでもよくいるコンビニ店長さ。ごく普通の生活をして、ごく普通にアンドロイドと暮らしてる!
他の人とちょっと違うところといえば……。ぼくがアンドロイドにガチ惚れしてるってことと……。
「じろじろ見ないでください。気持ち悪い」
そのアンドロイドがぼくに対して何故かやたら辛辣ってことカナー。
……はあ、しんどい。
両親が多忙だったため、ぼくの小さい頃の世話はほとんどアンドロイドがしてくれていた。
優しそうな女性型で、それがぼくの初恋だ。絶対結婚する! と言っては、彼女を困らせていた。お世話ロイドの名前はマイ。
そんなある日、マイは活動を停止してしまった。ぼくが、高校生になったばかりの頃。
彼女は母が結婚する前から連れていたアンドロイド。製品的な寿命。どうにもならない。延命、できない。
母も父も泣いていたし、ぼくも目がとけそうなくらい泣いた。
いつか直すからスクラップにしないでくれと頼み込んだけど、傍にあると悲しくなるからと廃棄処分された。
故障したアンドロイドの記憶を長期間保持するのはほぼ不可能と言っていい。もし直ったとしても、それはもうマイではない。わかっていた。ぼくは、それでも良かった。でも両親はそれをよしとしなかった。
次に自分でアンドロイドを買うことがあれば、修理を自分の手でできるようになりたい。そう思って、たくさんたくさん勉強した。専門大学にも通った。開発にも携わる……予定だった。
そんな時、ぼくは一台のアンドロイドに出会った。
ちょっと大きめな電機量販店。彼は店頭ディスプレイ用に飾られていた。
さらりと揺れる柔らかそうな蜂蜜色の髪に、同じ色の瞳。少し冷たそうにも見える整った相貌。
一目惚れ。それがぼくの、二度目の恋。
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