13.志恩の覚悟

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その準備は着々と進み、 当日を、迎えた。 正隆は、首相からの表彰前に、珍しく緊張していた。 先程絵画の中身も確認した。志恩も笑顔で会場の端に立っている。 新聞社、雑誌、様々なメディアの記者が押しかける会場の中、 表彰式は始まった。 何の滞りもなく、進行されていく。 そして、絵画の公開の瞬間が訪れた。 「では、実際の絵を開けて頂きましょう!」 司会者が明るくここ一番の声を出す。 何人かが、箱を囲み、 記者たちがカメラを構える。 ドサドサドサッ!! そこから出てきたのは、大量の粉袋だった。 「これ・・・は・・・?」 司会者の戸惑いの声が響き、会場はどよめく。 「阿片・・・?」 その声を出したのは、あの、飯田だった。 「阿片だと!?」 「近衛さん、どういうことですか!!」 写真はおやめください!!と叫ぶ司会者にも止められない勢いでフラッシュが炊かれる。 正隆は、 その場で放心したまま、動かない。 八神さん!あなた責任者ですよね! どういうことですか!! 押しかけて来る記者に応えようとした、その時。 「志恩・・・!」 押し寄せる人の波をくぐり抜けて、小さな身体が飛び込んできた。
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