13.志恩の覚悟

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「千歳!?」 倒れ込む細い身体を抱きとめる。 なんで、 そう呟く志恩に、千歳は息を切らし、涙を流しながら答えた。 「高倉さんが・・・!」 あいつ。粋なことをしてくれる。 苦い笑いを浮かべる。 このままだと千歳も記者に取り囲まれる。 急いで外に出さないと。 でも・・・ ありがたい。 ぎゅぅ、と千歳を抱きしめる。 記者のうるさい声が聞こえなくなったようだ。 「千歳・・・泣かないで。」 なんでこんなこと、あなたはしなくていいのに、 胸をドン、ドン、と叩かれる。 「千歳。千歳、聞いて・・・」 涙の流れる頬にキスをする。 「千歳、愛してる。」 頭、額に唇で触れながら囁く。 「本当は、別の奴と幸せになってって伝えるべきだけど、」 ごめん、 「俺が幸せにしたい」 どうしても。 絶対に帰ってくるから、待ってて。 最後に耳元で囁かれたのを最後に、志恩は千歳を突き放した。 飯田がその身体を受け止める。 「志恩!!」 駄目ですよ、そう言って飯田に身体を抑えられる。 志恩はこちらを見て優しく微笑んだ。 「儂は何も関係ない!!あいつがやったことだ!!」 叫ぶ正隆とは対象的に、 志恩は微塵も抵抗せず、警察に連れて行かれた。 「志恩!!!」 千歳の叫び声は、その喧騒にかき消された。
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