6 解毒剤

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 不意に瀬田は、杉生は自分を共犯者に仕立て上げたいのではないか?と思い付いた。  秋川を介して、通してほんの少しでも自分と繋がっていたいのではないか?と考えた。  杉生と仕事で再会した時、瀬田はけして平気だったわけではない。 この二年間で、杉生のことをすっかりと忘れ去ることは出来なかった。杉生よりも、杉生と付き合っていた自分が許せなかった。  杉生と付き合っていたことが罪ならば、忘れることが出来ないのは罰だ。と瀬田は考える。 この写真はその印だ。 今、自分と付き合っているというだけで、こんな写真を撮られた秋川は全くのとばっちりで、心から済まないと思う。  そして、ありがたいとも。 「この写真、おれが持っていてもいいですか?絶対に、他の人には見られないように保管しますから」 「いいも悪いもおまえが貰ったものなんだから、おまえの好きにすればいいさ」  秋川にとっては、自分を含む他の人間の目に触れなければどうでもよかった。 瀬田が、恋人のヌード写真をわざわざ見せびらかすようなバカだとは思えなかったが。  当の瀬田はいけしゃあしゃあと、 「じゃあ、オカズにします」 と言い放った。 「やっぱり、おれに寄越せ」 「駄目です。これはおれが貰ったものですから」  先程の秋川の言葉を瀬田は盾に取り、ニッコリと秋川へと笑い掛けた。  
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