133人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
不意に瀬田は、杉生は自分を共犯者に仕立て上げたいのではないか?と思い付いた。
秋川を介して、通してほんの少しでも自分と繋がっていたいのではないか?と考えた。
杉生と仕事で再会した時、瀬田はけして平気だったわけではない。
この二年間で、杉生のことをすっかりと忘れ去ることは出来なかった。杉生よりも、杉生と付き合っていた自分が許せなかった。
杉生と付き合っていたことが罪ならば、忘れることが出来ないのは罰だ。と瀬田は考える。
この写真はその印だ。
今、自分と付き合っているというだけで、こんな写真を撮られた秋川は全くのとばっちりで、心から済まないと思う。
そして、ありがたいとも。
「この写真、おれが持っていてもいいですか?絶対に、他の人には見られないように保管しますから」
「いいも悪いもおまえが貰ったものなんだから、おまえの好きにすればいいさ」
秋川にとっては、自分を含む他の人間の目に触れなければどうでもよかった。
瀬田が、恋人のヌード写真をわざわざ見せびらかすようなバカだとは思えなかったが。
当の瀬田はいけしゃあしゃあと、
「じゃあ、オカズにします」
と言い放った。
「やっぱり、おれに寄越せ」
「駄目です。これはおれが貰ったものですから」
先程の秋川の言葉を瀬田は盾に取り、ニッコリと秋川へと笑い掛けた。
最初のコメントを投稿しよう!