<序 章> 運命は突然に

1/3
89人が本棚に入れています
本棚に追加
/172ページ

<序 章> 運命は突然に

運命は突然に 『運命』  それは、何の前触れもなく、突然にやって来た。  それは、奇蹟という名の運命だった。  これまでの平凡な日々とは程遠く、想像を絶する奇妙な世界への(いざな)いだった。  僕は、名も無き平凡な大学生の一人である。  幼い頃から夢見たアニメーターを目指し、難関と言われた芸術大学に、辛うじて入学することができたのだが。受験ストレスの反動からか、本学よりもサークル活動に明け暮れる日々を送っていた。  現代の学生に有りがちな自由楽観主義とでも申しましょうか、すっかり時代の風潮に流されている始末である。  そんな僕が、『運命』という言葉の重さと、その意味の奥深さを、海馬の奥から心の底まで、思い知らされることになったのだ。 『運命』  それは、足音も立てずに突然やって来る  老いも若きも、男も女も、分け隔てなく  もちろん、時間や場所などかまわない 『運命』  それは、未来を切り拓く人生の分岐点  ときには、神様がくださる奇蹟を生むことも  人の一生も、運命の積み重ねで出来ている 『運命の時』 『運命の地』 『運命の人』 『運命の出逢い』 『運命の別れ』 『運命の再会』 そして、『運命の赤い糸』          * * * * * * *  
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!