追憶

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追憶

 母が何故、香月家に来たか。 それは当然、義父と再婚したからなのだけど。  美夕は講義をする教授の声を聞きながら頬杖を突き、窓の外を眺めていた。 秋色に染まり始めた樹々が風に揺れている。 乾いた葉擦れの音が、窓越しにも聞こえてきそうだった。 美夕が母に手を引かれ、香月家の門をくぐったのはちょうどこんな季節だった。
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