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地方勇者の闇
――思えばレベル15が、人生のピークだった。
王都からは遠く離れた田舎の町に生まれ、家は裕福ではなかったものの、大きな不幸もなく順調に育った。
勉強はそれなりだったが戦いは得意で、大人に混じって町の周りに出る魔物を退治したり。
そうやってレベルを上げ、武術大会に出て優勝をしたりしているうちに、俺は周囲から受ける期待に気付き始めていった。
お前なら勇者になれる、そんな言葉を真に受けて俺は期待に応えようと努力し、町の人たちの役に立ちたいと心から思った。
その頃はレベルもとんとん拍子に上がっていて、まさに絶頂期。その頃が15レベルぐらいだ。
違和感を覚え始めたのは、学校を卒業してからのこと。
俺は町の勇者として仕事を始めたが、時間を追うにつれて、徐々に年の近い知り合いが町を去るようになっったのだ。
それなりにいい町だと思っていた俺には、去っていく理由が理解出来なかった。
なんとなく田舎町に漂う閉塞感が嫌だ、ということなのか。
町を出る友達に聞いても、曖昧な返事をされるだけだったが、そんな中で、
「この辺はやっぱり魔物が多いから……」
そう言った友達がいた。
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