タイム・メテオライト

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タイム・メテオライト

 2025年2月15日、直径17mの小惑星が地球の大気圏に突入した。現地時間9時15分、強い閃光を放ち、煙の尾を曵きながら落下する火球が朱雀村など赤根山脈中南部一帯で観測された。隕石の落下の痕跡で見られる煙のようなものは、隕石の表面が大気との断熱圧縮で高温となり蒸発し、それらが冷却凝固した細かい粒子が見えている隕石雲と考えられている。隕石雲は、低空では大気中の水蒸気が微粒子に結露して水滴化し、まるで雲のように見える。火球はその後9時20分26秒に、上空15kmから50kmで爆発し、複数の破片に分裂して落下した。  隕石は主に朱雀村、青竜町、白狐市の上空で目撃されている。  隕石衝突が発生して程なく、数多くの動画がインターネットにアップロードされ、その一部は当時路上を走っていた車両のダッシュボード上のビデオカメラが捉えたものであった。撮影された動画では、火球が光を曵きながら空を横切り、その後に大きな爆音が残されている。物体は一時的に太陽より明るくなり、朝の地上に影を作り出すほどに輝いていた。  分解直前の隕石の推定される大きさは発表した機関によって異なるが、直径は数mから15mと見られている。東武大学の解析によれば、隕石の質量は10トン、落下速度は秒速15km以上で、隕石が分解したのは高度30kmから50kmではないかと見られている。  また、アメリカ航空宇宙局 (NASA) の解析では爆発した高度は15kmから25kmとしている。落下方向は東から南への方角と見られている。また、大気圏に突入しても燃え尽きず地上まで落下したことから、組成は鉄隕石に近い、鉄などの硬い物質で構成されていると考えられている。  NASAの推定によれば、大気圏突入前の小惑星の大きさは直径17m、質量1万トン、大気圏突入前の地球に対する相対速度は秒速18km、衝突角度は20度未満としている。仮に地球に対してより垂直に近い角度で落下した場合、大気から受ける熱と圧力が大きく、高度80km前後で燃え尽きてしまい、今回のように地表まで達しなかったと考えられている。包括的核実験禁止条約機関 (CTBTO) は、小惑星の直径は17mとNASAと同じ推定であるが、質量は70万トン、分裂した時点での落下速度は秒速18kmと推定している。  2013年11月には、アズマ・カズヒサら世界中の59名の研究者の共著でサイエンス誌に落下を詳細に分析した論文が掲載された。 それによると、突入した隕石の元の質量は1.3万トン(不確かさは2倍程度)で直径は15~25mあったとされる。 高度97kmにあったときの火球の速度はおよそ秒速19kmで、地表面と約18°の角度をなしていた。   撮影された映像などを詳細に分析したところでは、隕石が高度90kmに達したとき大気中に最初の衝撃波が生成され、83kmで隕石が分解し始めチリが形成された。 この過程は高度54kmで加速し、高さおよそ30kmまで降下したとき火球は最も輝いた。 このときの火球は、火球から100km以内で太陽よりも明るくなり、火球からの紫外線により屋外にいた人のいくらかは日焼けを負った。 最後の爆発は高度27 kmで起きた。 経路全体では元の運動エネルギーのうちの4~10%が放射に変わったとみられる。 経路に沿って熱を帯びたチリの雲が形成され、火球の通過後、チリの雲が徐々に平行な2つの雲に分裂した。  これは、熱の浮力によって2つの円柱状の渦が形成されたことによる。  また隕石となった小惑星の太陽周回軌道は、近日点を地球と金星軌道の間、遠日点を火星軌道の外側と推定されている。この小惑星はもともと小惑星帯を起源としており、木星の重力による摂動で軌道が変化したか、小惑星帯にある小惑星同士の衝突で飛び出した破片が地球横断小惑星となって衝突直前までの太陽周回軌道に変化したと考えられている。後の分析の結果、小惑星自体は太陽系の年齢と一致する約46億年前に生成されたものであるが、もっと新しい年代に融解し形成された鉱脈が存在し、3000万年前から5000万年前に小惑星が何らかの衝突を起こした痕跡であると考えられている。また、隕石は比較的大きな小惑星の中心部で生成されたことを示す5型である。したがって、隕石の元となった小惑星は、母天体から飛び出した破片である可能性がある。  東武市には最近、おかしな格好の人間がいる。鎧兜に身を纏い、馬を走らせているのだ。『マーメイド』って派遣会社に勤務しているサヤマ・タクヤは最初、コスプレか何かかと勘違いした。しかし、ハロウィンでもないのに季節外れだ。科学者を夢見ていたタクヤはタイムマシンに関してある程度の知識があった。 『タイムマシン』はエンリケ・ガスパール・イ・リンバウの1887年の作品『時間遡行者』で発案され、1895年にハーバート・ジョージ・ウェルズが発表した『タイム・マシン』で広まったとされる。  登場人物の強い願望、あるいは個人的な超能力に由来するものや、何らかの天変地異が原因で引き起こされるもの。この類型については『タイムスリップ』や『タイムクェイク(時震)』などと呼ばれる場合がある。今回の場合は 隕石なので、『タイムメテオライト』だ。  また、何らかのゲート(門)が設定され、そのゲートの両側が異なる時間に開いており、そこを行き来することでタイムトラベルが実現されるものもある。
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