『ばらされたく』なかったら……

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「待たせちゃってごめんね、お疲れさま!」 九嶋くんに謝りながら、慌てて店舗の方へと向かった。 今日は土曜日。 あの日からちょうど二週間が経った。 先々週、先週と結婚式と翔の幼稚園の行事でお休みをもらったので、今日は修吾に渋い顔をされながらも、休日出勤をした。 4月にオーナーが変わって新体制になってから、常にうちの店は人が足りない状態だ。 副店長の初花ちゃんと店長の相澤さんは、シフト上はお休みがあるけれど、何だかんだで毎日のように店に出て来ている。 初花ちゃんは、特に見た目でも分かるくらいに疲れきっていた。 まぁ……忙しすぎるという理由だけで、そんなに疲れている訳じゃなさそうだけど…… 「お疲れ様です」 九嶋くんが帰ってしばらくしてから店に現れた男を見て、あっ、噂をすれば……だ、と思う。 『初花ちゃんが疲れている原因』のご出勤だ。 4月から店長としてうちの店に来た相澤 樹(あいざわ  いつき)さんは、めちゃめちゃ仕事ができる男だ。 さらに容姿端麗、秀麗眉目。 天は二物を与えず、に全く当てはまらない嫌みな男だ。 そんなできる男に初花ちゃんは付いていくのがやっとで、4月から振り回されっぱなしなのだった。
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