お召しあそばせ

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昨日もお茶会だったというのに、また今日もお茶会。 お母さまがなくなってから、この家の主人に気に入られようと各地からお茶会に誘われる日々。 お誘いを受けたら、今度はこちらにも呼ばないといけないっていうのが暗黙のルール。 そんなルール私には関係ない!って部屋に閉じこもっていたけれど、お父様の執事に寝間着をひん剥かれてこの日の為にお父様が用意したという淡いピンクのワンピースに着替えさせられた。 「お、お、乙女を無理やり裸にするなんて!」 「これは失礼。乙女ってまさか......お嬢様の事で?はっ!失礼。つい鼻で笑ってしまいました。乙女の【お】すら私には見当たらないもので」 私のワンピースのリボンをわざときつく結びながらそう言った男は、細身に仕立てた執事服ををきれいに着こなして、目の前のマダムに甘く微笑みながらお茶を出す。 「ごきげんよう、マドレーヌ様。今日のお召し物もとてもよくお似合いで」 「マドレーヌ様、今日はお父様はいつ頃お茶会にいらっしゃるのかしら。異国の果物を持ってきましたの、ぜひマドレーヌ様とお父様に召し上がっていただきたいですわ」 声色を2オクターブほど高くしたマダムが私を囲んで、コロコロと楽しげに笑いながら世間話をしてくる。 マドレーヌ様と呼ばれているのが私。 はぁ、めんどくさい。 そう心の中で思いながら、私は極上の笑顔でマダムたちに返事をしていく。 それを、遠くでお茶のお代わりを用意しながら面白そうに笑うあの男。
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