7.反撃

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「これは俺の想像だけど、北に向かった部隊は今、俺たちと別の敵と戦ってるんじゃないか。それもそう遠くない場所で。そうなると、背後にいる俺たちは、敵からすると邪魔なんだよ。いつ後ろを突かれて挟み撃ちになるか分からんからな。だから、一刻も早くこの学校を落としたい。そう考えると、さっきの攻撃は辻褄があう」 「つまり…」 「早期に落とすという案は不可能と悟ったから、大砲攻撃に戻して、俺たちを釘づけにしたいんだよ。俺たちがじっとしているのは、敵さんの望み通り」 「何が言いたい」 「まだ分からんか。俺たちが撃って出て、奴らを一時的にでも攪乱できれば、敵は北の部隊が挟み撃ちになるのを恐れる。両方とも撤退する可能性がでてくるんじゃないか。だって、そうだろ。下手したら二つの部隊が全滅するんだ」 「そんなにうまいこといくとは思えないけどな」 「北の戦闘がどんな感じになっているかにもよる。でも、もし互角の戦いをしているなら、背後に動きがあったら、全軍が崩れる。指揮官はそれを一番恐れるはずだ」  俊彦は伸二の言っている意味がようやく分かった。しかし…。 「打って出るのは無謀だ。まず、武器がない。学校みたいにコンクリートの壁は守ってくれない」 「それは分かってる。だから考えてるんだ」  伸二はそう言うと、腕を組んで押し黙った。
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