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レンガ状に切ったチョコにココアパウダーをまぶし、用意した可愛い箱に詰める。上から飾りの金箔を散らせて、花衣にとっては簡単すぎるバレンタインチョコが完成した。
箱は二つあり、一つは奏助、もう一つは一砥に渡す予定だ。
二つのプレゼントを冷蔵庫に仕舞い、花衣はそっと隣の寝室を覗いてみた。
亜利紗はすっかり眠りに落ちていた。
閉じた目の周囲が赤く腫れているのを見て、花衣は思わず眉根を寄せた。
再びリビングに戻り、一人ソファに座って考える。
まさか自分の話であそこまで亜利紗がショックを受けたと思えず、なぜ急に彼女が泣き出したのか、その理由を懸命に考える。
だがいくら考えたところで、花衣にその理由が分かるはずもなかった。
どちらにしろ、今の亜利紗を一人残して帰宅するのは気が引けた。
奏助が明日の夜まで帰らないのならば、自分がこのまま朝まで付き添うべきだろう。
スマホで時間を確認すると、午後四時前だった。
まだ店が忙しくなる前の時間で、花衣はまず香奈に電話を入れ、今日は亜利紗の所に泊まると告げた。
次に一砥にも、念のためにメールをした。
彼とは明日の夜会う約束で今日は別に連絡の必要はなかったが、亜利紗が具合が悪いことも含めて伝えておくべきだと思った。
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