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結論から言うと、例の友達は姿を現さなかった。
俺たちは閉店まで飲んでいたが、とうとう彼を見ることはなかった。秋人は申し訳なさそうに俺たちに謝り続け、何度もその人物にメールをしていたが、返信すら無かった。
彼が行方不明になったことを知ったのは、その一週間後だった。
* * *
「俺の中で予感は確信に変わったぜ」
俺たちは食堂にいた。
もうすっかり「いつものメンバー」になっていた。
「確信?」
冬美がサバの味噌煮の骨を取り除きながら、興味なさそうに繰り返す。
「ああ、確信だ。これが本当に連続失踪事件だって確信。そして、例のチェーンメールが関係してるって確信だ」
「なぁ、秋人。もう首突っ込むのやめろよ。その確信には同意するけど、だからこそ危険すぎるだろ」
未だ“Aちゃんねる”とかいう胡散臭い都市伝説が関係していることについては半信半疑だったが、この近辺で物騒な事件が起こっているのは確かなようだった。
「ハルはそれでいいのかよ。事件はこの近くで起こってるんだぜ? つまり、この中にいる誰かがいつ巻き込まれてもおかしくはない。だったら、そうなる前に事件の核心に近づいている俺たちがどうにかするべきじゃねぇのか?」
その理屈は強引だろう、と思いつつも俺は「はいはい」と焼うどんを口いっぱいに放り込む。こうなってしまったときの彼はもう止められない。
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