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B「…ったく、飽きねーなぁ」
A「だって、これが私の生きてる意味だから」
B「そう言えば聞こえは良いけどさ、お前のしてることって結局、スト」
A「『ストーカー』って、言わないで」
B「自分で言っちゃってるし」
彼女はカメラのシャッターをきる。細雪の中。ほんのり実っている、桜の蕾と同じ色の指先で。
B「………」
彼女の、吐息が白く浮く。
B「このままでいいの?なんとかしようと思えば、なんとかなるんじゃねーの?」
A「駄目」
B「なんで」
A「…私の、恋は素敵だから」
B「素敵?」
A「私の恋は素敵過ぎて、重たくて、相手の人が壊れてしまうから…だから遠くからそっと眺めていられたら、私はそれで幸せなの」
B「へー…。で?結局、それでお前は満足なの?」
A「………」
彼女が、瞬間、レンズから目を離す。冷たい風のせいだろう。彼女の瞳は揺れていた。
A「私は、あの人を守る為に生まれてきたの」
fin
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