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そんな私達の関係に変化が起き始めたのは、いつごろからだろう。
思い起こせば三カ月ほど前になるだろうか。
「ねえ美瑠。私、好きな人ができたの」
可愛らしいふっくらとした 頬を染めて、美菜は今までに見せたことのない笑顔で私にそう言った。
「同じ会社の同僚でね、最近うちの課に異動になった人なの。笑顔が素敵でいつも私のことを助けてくれて、とっても優しい人よ」
これが恋する乙女の表情なのだろうか。
私と美菜は同じ顔にも関わらず、まるで別人のようだった。
私も美菜がいればいつも笑顔でいられるし、美菜を助けることもできるし、美菜のためなら全てを捨てられる。
私の方が、美菜を側で支えられるのに……。
この日初めて私の心に陰が生まれた。
『今日は彼から食事に誘われたの。晩御飯はいらないわ』
ある日の昼間、美菜からのメッセージを受信したときは、頭が真っ白になった。
初めて一人で食べた晩御飯の味は、きっと死ぬまで忘れないだろう。
そしてとうとう美菜から『恋人ができた』と彼を紹介された。
私の目の前で微笑みあう二人を目の前で見たとき、まるで世界が終わったかのような衝撃を受けた。
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