第一夜

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で、とにかくほしこさんに相談しようと思って、でも歩きながらいろいろ変なこと考えた。 ドアを開けたらそこに何か、怪物みたいなのがいるんじゃないか、とか―― 想像したんだけど、ほしこさんの席に天井まで届くでかいのがいてさ、頭が風船みたいので、マンガみたいな黒い大きな目がついてて、ひょろひょろした長い体があってさ、それが飛んで襲いかかってきたらどうしようとか、けっこう不気味なこと考えたんだよ。 で、それが本当になるだろうと思った。夢のなかだから。 それでドアの前で、しばらく固まってた。怖くて開けられなくて。 ――5分くらいして、開けられないから叩いた。なかからほしこさんの声がして、ドアが開いた。 ――全然いつも通りだった。 『どうかしたの』って言うから、『これって夢だよね』って聞いた。 『そうよ』ってふつうに言われた。 『どうしたら起きられる?』って聞いたんだけど、『起きる必要ある?』って言われて、よけいに怖くなって……。 とりあえず座ったら、ほしこさんが『あたしこれからいなくなるけど』って。 ついてくわけにいかないから、しょうがない、そのまま待ってた。 時計があってさ、それ見るんだけど、すごくふつうなんだよ。一秒一秒がふつう。 カチッカチッって動いて、ちゃんと一周したら一分経ってさ、それで15分くらい待ったけど、何も起きなかった。 変なことが何も起きないんだよ。変じゃない? それでも待って、一時間以上経った。 俺、今、何時間寝てるんだろうって思った。この一時間って、起きてる一時間と同じなのかなって。 とりあえずもう部屋に戻ろうと思って、この部屋に帰ってきた。 まだ昼の3時くらいで、おりょうちゃんはいなくて、ふつうにテレビをつけた。
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