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「みぃの髪、ザラザラしてるよ。ほら、ベンチに座って食べなよ。その間に、梳かしてあげるから」
莉生は手を引いてベンチに座らせてやり、チョコレートを食べ始めたみぃの後ろに回って、指を髪に通し始めた。
「みぃ、これどうなってるの? 全然指が通らない。姉さんの髪は、こんなに引っかからないよ」
一生懸命手ぐしで整えようとするものの、なかなか思うようにならない。
小さなチョコレートを食べ終わったみぃは、莉生の拙い手ぐしに目を細めた。
「痛い?」
「ううん、きもちいい」
「そっか」
それから、莉生は時間をかけて、みぃの髪を整え、ぽてぽてと歩く様子に胸がほっこりするのを感じながら、何度も滑り台を滑らせてやった。
だが、莉生にもタイムリミットは訪れる。
「みぃ、お母さんはちゃんと迎えに来る?」
きょとん。みぃに視線を合わせるように屈んだ莉生に、そんな音が聞こえた。
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