りおとみぃの約束

9/23
618人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「みぃの髪、ザラザラしてるよ。ほら、ベンチに座って食べなよ。その間に、梳かしてあげるから」 莉生は手を引いてベンチに座らせてやり、チョコレートを食べ始めたみぃの後ろに回って、指を髪に通し始めた。 「みぃ、これどうなってるの? 全然指が通らない。姉さんの髪は、こんなに引っかからないよ」 一生懸命手ぐしで整えようとするものの、なかなか思うようにならない。 小さなチョコレートを食べ終わったみぃは、莉生の拙い手ぐしに目を細めた。 「痛い?」 「ううん、きもちいい」 「そっか」 それから、莉生は時間をかけて、みぃの髪を整え、ぽてぽてと歩く様子に胸がほっこりするのを感じながら、何度も滑り台を滑らせてやった。 だが、莉生にもタイムリミットは訪れる。 「みぃ、お母さんはちゃんと迎えに来る?」 きょとん。みぃに視線を合わせるように屈んだ莉生に、そんな音が聞こえた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!