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胸ぐらを掴みながら俺に振り返った毒島は狂気が宿った顔をしていた。しかし、俺の言葉を理解したのか、殴るのをやめた。
「ちっ、もう死んでやがる」
ペッ、とミイラに唾を吐き、ミイラをつかんでいた手をズボンで拭いながらゆっくりと立ち上がった。
「毒島さん、大丈夫か?」
「いや、それよりあんたの親父が・・・」
「親父?」
俺は親父のほうを慌てて振り向くと、親父の白衣の左胸に銃弾が突き抜けた跡がついてた。
「親父!」
急いで駆け寄り脈を探す。左胸に開いた穴からドボドボと血液が溢れ出てくる。思い切り抑えてもそれを止められない。
「親父! 親父!」
俺は何度も呼びかける。何度も何度も。
「おやじー!!!」
どれだけ泣き叫んでいただろうか。五分だったようにも思えるし、一時間ずっと叫んでいたようにも感じた。
「やるぞ、やるしかねぇんだ」
そう言って、毒島が俺の肩そっと叩いた。
わかっている、わかっているのだが、これからいったいどうしたらいいんだ。
毒島は親父が開けた引き出しから一枚の写真を見つけたようだ。俺にその写真をゆっくりと裏返し俺に見せる。そこに映っている人間は俺のよく知っている人物だった。
「こいつが犯人か……」
そして、俺たちは全世界にいる生き残ったわずかな人類と一緒に薬の量産化を目指していくのだが、それはまた別の話。
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