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「君の体を修復するために力を使ったら、こんなに小さくなってしまった。少しは責任を感じてくれると嬉しいな」
その姿はあの魔王グレアムそのものなのに、大きさは手のひらサイズだ。
「どう、して……?」
私の声にグレアムは綺麗な顔で笑った。
「私はね、聖人聖女と呼ばれる人種が大嫌いだった。人には真っ白な心を諭しながら、彼らの心には黒いシミが必ずあったからね。だから、そのシミを大きくし暴いて魔王にすることを考えついた。聖人が魔王になる、なんとも、滑稽で楽しいだろう?」
チャキッと鳴ったのは、アスランの剣だ。
「少しも面白くない。いまここでお前を切って捨てたいくらいだ」
「やってみるといい。私の力でリアの傷は塞いだのだ。その傷もすぐさまもとに戻りリアは死ぬだろう」
ニヤリと笑うグレアムに、アスランは舌打ちして剣を収めた。
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