人魚病

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人魚病

その病気は名前位は知っていて、だけどどこか他人事で遠くの世界で起きている。そんな病気だった。 人魚病 じわじわと体が結晶化していってしまう病気で、発症はするのはほぼ足の先から。 結晶化というか石になってしまった部分がまるで半透明の鱗の様で通称人魚病と呼ばれているし、医療関係者以外は多分正式名称を良く知らない。 原因不明のこの病は徐々に結晶化が全身にまわり死に至る。 唯一の治療方法は早期に発見された足を切断することだ。 学校で、義足を装着している人に対する差別についての授業をした事があったけれどどこか他人事でしか無かった。 学校を卒業して工場で働き始めてもそれは変わらなかった。 だから、足先が少し硬くなっても、人魚病は思い浮かばなかったし、足の甲にうろこ状の結晶がびっしりと覆う様になってようやく医者にかかったのだ。 それがいけなかったのだろうか。発見時期とはあまり関係無いと医者は言っていたが他に理由は思い浮かばない。 直ぐに足を切断したにも関わらず、人魚病が再発してしまったのだ。 結晶化してしまった箇所は疼く様に痒い。そこに切断した足の幻肢痛があるのだ。 足は2度ほど切断して右足はひざ下がない。     
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