あらすじ

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あらすじ

起 ある朝家族が幸福だった頃の夢を見て目覚める高校二年生の主人公。起きてリビングに行くと、古い高級家具の中で、母が死んだ筈の父に楽しそうに話しかけている。父の死をきっかけに母は心のバランスを崩し、妹はグレ、家庭は崩壊。悩み苦しむくらいなら死のうとビルの屋外階段に行くと、胡散臭い風体のオジサンがいた。オジサンもここで死のうとしていた様だ。それぞれの悩みを打ち明けつつ、少し距離が近付く二人。オジサンに励まされ、少年は前向きな気持ちで家に帰る。 承 しかし家に帰ると、母は変わらず虚空に話しかけている。優しく接する少年だったが、段々母は荒れ、泣き叫びながら少年を父親と思い込み迫ってくる。「そんなに苦しいなら僕が殺してあげるよ」と、母を突き飛ばし馬乗りになって首を締める。母の呻き声で我に帰ると咳込む母。居た堪れずに少年は家から飛び出した。 転 もう走れない所まで来て立ち止まると、雨が降り始めた。そこは、ビルで出会ったオジサンの店の前だった。オジサンにご飯を振舞われながらも罪悪感に苛まれる少年。そんな中オジサンが妻を殺しに行くから手伝ってくれと乞われる。成り行き上&考えるのに疲れて、妻殺しを手伝うことに。少年が妻を刺そうとした瞬間、オジサンが身を挺して防ぐ。少年はナイフを手放す。オジサンは妻の表情を見て元には戻れないことを察しその場を去る。人間の愛憎について考える少年は、オジサンと別れ家路に着いた。 結 明かりのない家に入ると、妹が血の付いたナイフを持って泣いていた。血溜りの中母が倒れている。「……ごめんね」と息も絶え絶えに母が呟く。妹はただ泣き続けた。少年は妹のナイフを奪い、指紋を拭う。母と一緒に妹を救急車に載せると、警察署に向かう。少年は受付でナイフを握り締めたまま両手を差し出す。そして涙を流しながら、満足そうな笑顔で「僕がやりました」と言うのだった。
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