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「けれど俺にはなにがまちがっているのかわからない。マルゴ、お前も俺を気持ち悪いというのか?第4王女の蔑みなど全くもって気にならないが、さすがにお前にこの気持ちを否定されたら俺はこれから先どうしたらいいんだ」
そう言ってベッドの上で項垂れるザフィ教官の尖った耳が心無しか垂れている。
昨日から感情の起伏が激しい教官だが、実はこっちの方が素なのかもしれない、と思い始めてきた。
これまでの人生で多大なプレッシャーをかけられて無骨になったのか、人見知りが、激しいのか…。
そうなってくると、この目の前のデカいけど美しい妖精を俺が守ってやらなければ、なんて使命感がムクムクと湧いてきてしまう。
「教官、俺が教官を嫌うなんてことあるわけないじゃないですか。言ったでしょう?あなたは俺の憧れだって」
頭をそっとなでれば瞳に涙を浮かべた教官が飛びついてきた。
「……マルゴぉぉぉ」
歓喜の雄叫びを上げる教官に再び組み敷かれてしまった。
「言ってくが、ドワーフだったら誰でもいいわけじゃない。美しいドワーフの中でもお前は……その……更に、とっ特別なんだ」
額から湯気が出そうなほど真っ赤になった教官が、それでもしっかり俺の瞳を見て伝えてくる。俺はその首に腕を絡めて引き寄せると耳元にそっと囁いた。
「俺にとってもザフィ教官だけが特別ですよ」
俺たちは朝日の差しこむ部屋で抱き合ったまま、心地よいまどろみを心行くまで堪能した。
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