第1章

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デイルームは誰も居なかった。 荷物と共に長椅子に座る。 外は朝日が眩しく、快晴で景色がよく見える。 病院に向かっている車の列。 列の中には路線バスもいる。 その列の反対には近くの学校へ向かう自転車の学生。 「ビビさん、お待たせしました。こちらへどうぞ。」 振り向くと小さな年配のヘルパーさんがいる。 「ここで、体重と身長を測って下さい。」 ヘルパーさんが体重計の電源を入れるので、そこに乗るとヘルパーさんがメモをとる。 そのすきに隣の身長計に乗って待っているが中々測ってくれない。 「あの…患者様にお願いするのは大変申し訳ないですが、身長計のはかりが高く上がりすぎていて手が届かないので下げてもらえますか?」 見上げると身長計の頭に乗せるところが、かなり上に上がっている。 私(158㎝)が手を伸ばして掴めるくらいだった。 自分で頭に乗せ 「このくらいですか?」 と、直立する。 「ありがとうございます助かります。」 と、ヘルパーさんは正しく計り、メモをした。 そして、病室に向かう途中で体のサイズに合う病衣を選んでくれ、手術用の一式が入った袋を手に取り、病室に案内してくれた。 ベッドは四人部屋の廊下側。 向かいのベッドは空いていたが、窓側はカーテンが閉まっていたので患者さんがいるようだ。 ヘルパーさんは、トイレとロッカー、簡単な備品の説明をし、病衣に着替えたら【入院の心得】を読んで看護婦さんが来るのを待つようにと言って部屋を出ていった。
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