早く、早く

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俺は強く彼女の手を握りしめ、もう片方の手で、 刺した。 彼女の胸を。持っていたナイフで。 「…え?」 彼女は驚き、自分の胸元と俺を交互に見た。 俺は彼女に優しく微笑んだ。 彼女は力尽きて崩れ落ちる。俺とは手を繋いだまま。 (ああ、良かった。こんなこともあろうかとナイフを持っていて正解だった) 俺は彼女の顔以外を刺していった。 (やっぱり初めて見た時から思ったよ、君は白より赤が似合う。白い肌、白いナース服を赤く染める君の血。ああ、本当に…) 「綺麗だね」 名残惜しいが、彼女の手を離した。 アスファルトの上に横たわる君を目に焼き付ける。 (さよなら、運命の人) 俺は彼女の頭を撫で、頬にキスをした。 そして血だらけになったスーツのままその場を後にした。 (さて、次の運命の相手を探さないと)
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