episode243 破壊夜

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「何だこれ……」 袋を開いて驚いた。 中に入っていたのはたったひとつ。 昨夜は焼き立てだったであろう萎んだメロンパンだった。 紙袋の端に小さく販売車のロゴが入っている。 「そうか……」 ここに来る途中の道で きっと征司は販売車を見つけたんだ。 自分は甘いものなんて食べないくせに。 車を止めてたったひとつ――。 僕の為に焼き立てを買った。 「似合わないこと……」 そんな買い物したことないから きっと随分手間取っただろうな。 ブラックカードなんか出して なんで使えないんだって店主を困らせたかもしれない。 分かんないけど――。 ただひとつだけ 確かなことはある。 昨夜があんな夜になるなんて 征司はこれっぽっちも思ってなかったってこと――。
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