第九話

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「……わらわは……寿は……いらぬ子でござりまする」 寿姫の大きな瞳から、ぽろぽろぽろ…と大粒の涙が溢れ出た。 「母上からも……父上からも……(うと)んじられて……おりまする」 言葉の狭間に、えっ…えっ…えっ…と嗚咽がこぼれる。 「寿なぞは……おらぬ……方が……生まれてこぬ……方が……」 初音は思わず、寿姫をもっと強く、抱きしめられずにはいられなかった。
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