「さとう」の二人

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呼ばれた方向には、ミーティングルームがある。 確か今は電車の中吊り広告の会議中だったはず。 私は仕方なく仕事を中断させて、ミーティングルームへと向かった。 ドアを開けると、取引先の人も含めて五人が座っている。 机に置かれた資料を見ると-やっぱり中吊り広告の会議で間違いはなさそうだ。 「凛、ごめん。早速なんだけど…」と説明を始めるのは、営業の津田君。 津田君の説明を要約させると、中吊りのメインで使うジャケットが染料とコストの関係で、随分予想より濃い色に仕上がってしまったということ。 それで背景の色を一段階上げるかどうかという内容だ。 私は少し考えて「確かに…上げた方がいいかも、ですね」と意見する。 「多分一段階上げた方がジャケットの色は引き立ちますよ。  あと…そうだなぁ。これだとブーツはダークブラウンよりブラウンの方がいいかな? この撮影の小物達にも青の色味を足した方がいいと思う」 一通り自分の意見を言うと‐みんなきょとんとした顔をしている。 そしてみんな一斉に笑い始めた。
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