697人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
呼ばれた方向には、ミーティングルームがある。
確か今は電車の中吊り広告の会議中だったはず。
私は仕方なく仕事を中断させて、ミーティングルームへと向かった。
ドアを開けると、取引先の人も含めて五人が座っている。
机に置かれた資料を見ると-やっぱり中吊り広告の会議で間違いはなさそうだ。
「凛、ごめん。早速なんだけど…」と説明を始めるのは、営業の津田君。
津田君の説明を要約させると、中吊りのメインで使うジャケットが染料とコストの関係で、随分予想より濃い色に仕上がってしまったということ。
それで背景の色を一段階上げるかどうかという内容だ。
私は少し考えて「確かに…上げた方がいいかも、ですね」と意見する。
「多分一段階上げた方がジャケットの色は引き立ちますよ。
あと…そうだなぁ。これだとブーツはダークブラウンよりブラウンの方がいいかな?
この撮影の小物達にも青の色味を足した方がいいと思う」
一通り自分の意見を言うと‐みんなきょとんとした顔をしている。
そしてみんな一斉に笑い始めた。
最初のコメントを投稿しよう!