2261人が本棚に入れています
本棚に追加
/370ページ
それを聞いた私はますます綾瀬さんの優しさに触れ、どこまでもスマートなその行為に心が温かくなった。
それと同時に昨夜の出来事についての後悔の念が押し寄せてきた。
最後まで抜かりなく、欠点がまったく見当たらない完璧な男性に私は昨日あんな大それたことを……。
高揚する気持ちを後悔の念が押しつぶすような心の状態で外に出ると、目の前にタクシーが止まっていて私はそれに乗り込んだ。
「お支払いは既に済んでおりますので」
タクシーを頼んでくれただけでも優しい人なのに、さらにお金まで払ってくれてるなんてほんとどこまで完璧な人なんだろ。
車の中で私は綾瀬さんのことを思い出していた。
酔った私はあんなことを言ってしまってかなり迷惑をかけたというのに、自分がいない時でもここまで私に親切にしてくれる。
こんなことをされて綾瀬さんへ気持ちが傾かないわけがない。
ホテルから家までは30分ほどで着き、部屋に戻った私は服を脱ぎ捨てシャワーを浴びた。
一応自分の身体を確認してみるがなんの変化もないし違和感もない。
シャワーを浴び終えて髪を乾かし服を着替えてもう一度家を出た。
最初のコメントを投稿しよう!