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「あー、もう。やっぱり夜に食べちゃうんだよね、十時くらいになったらお腹空いてきちゃってさー」
「アンタさー、ダイエットするって言いながら全然してないじゃん」
「だってぇー……」
横の個室トイレから出てきたふたりの女子が、手を洗いながら話している声が聞こえる。私は、便座に腰かけたまま、ぼんやりとその会話を聞いていた。
「だってぇー、じゃないわよ。本気で変わろうとか頑張ろうって思ってたら、ちゃんと自制できると思うんだけど」
「いいよねー、ミキはスタイルよくて。私だってホントに頑張ってるつもりなんだけどさー」
「自己申告怪しいわ。まぁ、本気でやってるかなんて、自分自身が一番わかってるはずだから、私は何も言いませーん」
重なって響いていた手洗い場の水道の水音が、ひとつ止まる。
「ちょっとー、友達甲斐ないなぁ。応援してよー。そしたら、ちょっとはできる気がするからさー」
「応援も何も、“できる”か“できない”かじゃなくて、自分が“やる”のか“やらない”のかの二択でしょ」
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