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3人で体育館へと向かうべく長い渡り廊下を歩いていると、
「和奈、靴紐横にきてるよ」
と頼子に言われる。
「ホントだ」
私はしゃがみこんで、それを結び直すも、また横に曲がってしまう。
「下手だなぁ、私」
「おーい! 殿村、何のん気に歩いてきてるんだ! 走れよっ」
痺れを切らしたのだろう、体育館の入口から渡り廊下を覗きこんできた鎌堂先生が、鬼みたいな顔で拳を振り上げ叫んでいる。
「うわ、やべ、先生だ。一緒に走ろうっ」
「はあっ? なんで私たちも走るのよ」
「ちょっ、ちょっと待って、まだ靴紐が。それに、スカートだし……」
殿村くんが頼子の手を引いて走りだす。そして、頼子もとっさに私の腕を握ったものだから、結局三人でバタバタと走ることになった。頼子は殿村くんに怒鳴っているものの、なんだかおかしくなって笑ってしまう。
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