ノンフィクション・ラブストーリー

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ああ、困ったな。あまりに幸せで、泣いてしまいそうだ。僕は君と過ごすようになって、すっかり涙腺が弱くなってしまったみたいだ。 でもね、美玲。僕は今日ほど、僕が僕で良かったと、自分の存在意義を今日ほど見出だせたことはないよ。 ああ、そうだ。美玲、もちろん君も気付いていると思うけど、君が大好きで大好きでやまないこの物語はさ、“結婚式(このシーン)”で終わりなんだ。 たくさんの人たちに祝福され、幸せいっぱいのエンディングを迎え、綺麗に幕引きしたんだ。 僕たちが辿るべきストーリーは、もうない。 「……美玲」 僕は愛しくて愛しくて仕方ない名前を、そっと呼んだ。 美玲は僕を見上げ、「なぁに?」と小首を傾げた。 僕を見つめる色素の薄い大きな瞳は、まるで作り物みたいに綺麗な瞳。 丸いガラス玉みたいに透き通ったそれに、うっすらと影が差す。 僕はそれに気付かなかった振りをした。                 ―END―
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