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一砥はただ側にいてくれたらいいと言うが、花衣自身が自分にそれを許せない。
ただ夫に庇護され可愛がられるだけの存在ではいられない。
それが自身の譲れない“プライド”だと、彼女自身が気づくにはまだ時間が必要だった。
三時間後。
一砥が目を覚ました時、もう隣に彼女はいなかった。
枕元には綺麗な手書き文字で、「やっぱり私はあなたと結婚できません。ごめんなさい。私のことは忘れて下さい。花衣」と書かれたメモが残されていた。
一砥はそのメモをじっと見つめ、「くそ……」と一人小さく呟いた。
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