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他の二人よりも歯切れの悪い、今にも途切れそうな口調で自分の気持ちを伝える紀絵に、少女二人は安堵したように表情を緩め、称賛と感謝の言葉をかける。
「…………」
しかし、決意の固まりきれていない紀絵の目を見つめたままの煌人は、難しい顔をしたまま暫く動くことをせず、どうしたものかと思考を巡らせた。
完璧に、二人へ気を遣ってしまっている。
口に出した言葉も完全な嘘ではないだろうが、それ以上に怖じ気づいているのが煌人には簡単に見抜けてしまった。
「笹深さん、きみ本当に良いのか？ 無理をして得をすることなんて、恐らく何もないはずだぞ？」
最後のチャンスとして、煌人が逃げ道を提供するも、紀絵はこれに「大丈夫です」とだけ返しながら眉尻を下げただけに終わった。
――これ以上は、自己責任にしてもらうか。
確認は取った。
少女たちが今よりも深く鏡小屋へ関わると意志を示した以上、煌人からはもう何も言うつもりはない。
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