第三章 王国の人々

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「さあ、最後だ。魔物の数は、んー……」 「死に顔に違いはないです」  三人は目を皿のようにして、二つの壁画を見比べるが、違いが見つからない。 「分かんない、これ。一緒に見えるよぅ」  メイリですら、拗ねた口調でギブアップした。 「どっちも正解……なわけねえか」 「間違えると、また祠ですもんね」  ウンウン悩んだ挙げ句に、蒼一は強引な解決策を提案する。 「せーのーで、で合わせたら、二ついっぺんに開けられねえかな」 「扉をですか? 片方開けると、もう片方は開けられなくなりましたよ」 「そうそう、かたっぽしか開かないよ、多分」  しかし、他に名案も浮かばす、雪たちもその策に乗ることにした。 「俺が“せー”、雪が“のー”、メイリが“で”」 「私が“で”がいいです」 「どういう拘りだ。それでいいよ」  蒼一が右、メイリが左の戸に手を掛け、雪が真ん中で最後の合図を送ることにする。 「ほら、やるぞ。せーっ」 「のーっ!」 「でえぇぇぇーっ!」  雪の間延びした掛け声で、左右のタイミングはバラバラにズレてしまった。 「“でえ”で開けたよっ」 「“ぇぇーっ”で開けてしまった……」 「開いたんなら、いいじゃないですか」     
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