352人が本棚に入れています
本棚に追加
/677ページ
「さあ、最後だ。魔物の数は、んー……」
「死に顔に違いはないです」
三人は目を皿のようにして、二つの壁画を見比べるが、違いが見つからない。
「分かんない、これ。一緒に見えるよぅ」
メイリですら、拗ねた口調でギブアップした。
「どっちも正解……なわけねえか」
「間違えると、また祠ですもんね」
ウンウン悩んだ挙げ句に、蒼一は強引な解決策を提案する。
「せーのーで、で合わせたら、二ついっぺんに開けられねえかな」
「扉をですか? 片方開けると、もう片方は開けられなくなりましたよ」
「そうそう、かたっぽしか開かないよ、多分」
しかし、他に名案も浮かばす、雪たちもその策に乗ることにした。
「俺が“せー”、雪が“のー”、メイリが“で”」
「私が“で”がいいです」
「どういう拘りだ。それでいいよ」
蒼一が右、メイリが左の戸に手を掛け、雪が真ん中で最後の合図を送ることにする。
「ほら、やるぞ。せーっ」
「のーっ!」
「でえぇぇぇーっ!」
雪の間延びした掛け声で、左右のタイミングはバラバラにズレてしまった。
「“でえ”で開けたよっ」
「“ぇぇーっ”で開けてしまった……」
「開いたんなら、いいじゃないですか」
最初のコメントを投稿しよう!