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カシャリ。カシャリと響くシャッター音。
今僕は、家のベランダからファインダーを覗き、電柱にとまり羽を休めているスズメを撮影いる。
「いー朝だなぁ。」
カシャリと鳴り響くシャッター音が耳に心地よく、心が洗われる様だ。
だから、カメラはやめられない。
被写体はなんでもいい。
なにかを撮影出来ればそれで良かった。
彼女を知るまでは…
とある朝、僕はいつものようにカメラを手にベランダに出るといつも電線に止まっているはずのスズメの姿が見当たらず、被写体を見失った僕は、ただ電線を見つめていた。
「珍しいなぁ。こんな静かなのは久しぶりだ
ま。そんな日もあるよな。」
ボソリと独り言をつぶやき、部屋に戻ろうと振り返ったその時、一陣の風が吹いた。
「うわっ!?え…」
思わず目を閉じ体を背け、そっと目を開けた瞬間に、僕の目に写った被写体に釘付けとなった。
とても綺麗な長い茶髪。
前髪は綺麗に切りそろえられており、頭には一輪の赤い花を刺した女性が、お隣のベランダからどこか遠くを見つめている。
その姿に僕はときめき、無意識にシャッターを押してしまった。
「あ…」
「え?あ!!」
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