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彼は、名前をレンといった。翔と同じ、大学一年生の現役モデルである。
実は、インスタグラムなどで翔の写真を一番アップしているのは、ミサキではなく、このレンだった。彼は、翔と紙面を飾ることが多く、今ではすっかりコンビのようになっている。翔とは対照的な外見で、金色の短髪に外国人のような彫りの深い顔、細身の筋肉質な体つきをしていた。
同じ対照的とはいっても、がっちりとしたヤンキー系統の陸とは、また違ったタイプだ。
「黒髪のほうも、なんかつんけんしてて、いきがってる感じ」
「……そ、そうかな。大学行きながらモデルもやってるなんて、すごいと思うけど」
「そう? アルバイト感覚なんじゃない?」
さくらは押し黙った。
そんなこと、ない。そう大声で否定したかったが、もはや遠い存在の翔のことを知ったような口振りで話すのは、それはそれで嫌だった。
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