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「殺される夢って、そんな悪い意味じゃないみたいだよ」
ガジェットの画面をこちらに向けながら、さくらが言った。指差す爪は名前の通り薄っすらと桜色のマニキュアが塗られている。校則違反もお構いなしだ。彼女は度々そういうことをする。
「えぇ、でも気味悪くない?」
結夏が鏡に映る顔を歪めると、さくらがウェブサイトの文章を読み上げていく。結夏の視線が鏡に戻ったことに気付いたのか、改めてこちらに向き直す。
「生まれ変わるとか、そういう意味だって」
人に殺されるというのは、これまでの自分が消え新しい自分に生まれ変わるという吉夢らしい。なんだかポジティブが過ぎる。
「だから大丈夫だよ、凛ちゃん」
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