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アリソン・セラエノ・シュリュズベリー
乳ばちの中の哀れなイモリの黒焼きは、その体をこじりまわされてすぐにばらばらになった。
そのまま乳棒で根気よくすりつぶし続けると、イモリは跡形もなく真っ黒な粉になる。
昼食を食べ損なったわたしとアリソンは、その空腹の八つ当たりのように、炭化したイモリを一心不乱に挽き続けていた。
三限目は中級魔法薬学の授業で、コーシャーソルト先生の受け持ちだった。
彼は男性の魔女で、わたしの履修するゼミナールの担任でもあった。
ごく稀だけれど、男性の中にも魔女のしるしが顕れる者はいて、王国ではしるしが顕れれば誰だって魔術について学ぶことができた。
『すべての才あるものに、学びの門は開かれる』。
王国に存在するすべての魔術学校の校則の第一条には、この文言がもれなく書き込まれている。
ミスター・コーシャーソルトという人物は、身なりというものをあまり重要なものだと考えていないようだった。
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