ときわたり

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 マイルズがオットーから兄を引き剥がすのを横目で見ながら、バートがリュウに尋ねた。 「で、リュウ君。国に掛け合うのは誰がやるの?」 「そうだな」  リュウは顎に手を当てる。途方もない作業なのは確かだが、オズワルドの提案自体を断る気はさらさらないらしい。彼の提案が民間の人々を守ることに繋がるなら、またとない話だからだ。 「国によって適した人物が異なるだろうから、手分けして当たるか。まず、俺は火の国に行かせてもらう。結界の恩恵はあれど、万が一があるし、先日、向こうの大隊長と面会したばかりだからな。話が早いだろう。雪の国はバートに頼みたい。名が知れているからな」 「まー、俺ってか、妹がね」 「風の国は我輩に任せておくれ!」  オズワルドがその場でくるりと一回転して、自分の胸をどんと叩く。 「言い出しっぺだからね!」 「なに兄貴、大統領にアポなんて取れるの?」 「まあ何とかなるだろう!」 「うわー、希望的観測かよ。不安だから僕も付き合うわ」 「真面目な話」  イライザが小さく手を挙げた。 「お母さんが適任かも。天才治癒術士の名は伊達じゃないわよ」 「ほんとですか。確かにフローラさんがいてくださったら心強い。僕からもお願いしてみます」
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