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「水の国は……」
トウガが切り出したことで、一同の視線がトウガに集まる。急に注目を浴びたことで少し照れくさくなったトウガは、僅かに視線を落としながら続けた。
「対策、要ります、かねえ……?」
「要るんじゃねえの?」
エリックがつまらなさそうに返す。
「磁鉄鉱が水中に到達しない保証なんて、どこにもないだろ」
「水の国は、風の国にある湖が入口なんだよね」
バートが息子の言葉の続きを引き取った。
「草むらの中だから、周りの草がかなり弾いてくれるかもしれないけど、やっぱり万が一はある。対策しといて損はないさ」
「であれば」
トビアスが腕組みをする。
「俺はそっちに行きましょう。なんてったって叔父が瑠璃の外務大臣ですからね。きっと力になってくれるでしょう。それから、現地の王子様にも是非ご同行をお願いしたい」
「おれ、王子様ってガラじゃないってばー……。そういうのはレオン兄ちゃん一択だよ」
「またまたあ。なあ、オットーも来るだろ?」
「へ?」
急に話を振られたオットーは目を白黒させたが、トビアスにガシッと力強く肩を掴まれた。オットーは思いきり肩を跳ね上げる。
「ロックさんの息子じゃ、もてはやされるぜー?」
「いやー、自分は生憎縁がないんですけれども……」
「じゃあ縁を作ろうぜ。はい決定。オットーも行きまーす」
「えええ……」
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