*「愛の日」待降節第四主日

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*「愛の日」待降節第四主日

<四本目のろうそくは「ベツレヘムのキャンドル」 意味は「愛」 神の愛、主イエス・キリストがお生まれになった地> アンドリューが、彼の心とともにキャンドル・リースをくれた日。 その年の待降節の第一主日。 夕暮れ、僕たちはふたりきりで、一本目のアドベント・キャンドルに火をともした。 第一主日のろうそく。 「預言のキャンドル」と呼ばれる、その灯の意味は「希望」。 救い主がつかわされるという預言が成就し、みどりごイエスがお生まれになった。 それが、希望―― 家族がほとんど留守がちの、がらんと広いアンドリューの家。 夕闇のなか、一本目のろうそくは、希望をともすようにしてオレンジに揺れていた。 そしてその時、僕たちはすでに、なにひとつ身にまとってはいなかった―― * 木立に紛れて口づけを交わした後。 アンドリューの部屋へと駆け入って、僕たちは互いを抱きしめ合った。 でもアンドリューは、すぐに僕の身体から腕を解いて、グレーのメリノウールのプルオーバーを脱ぎ捨てる。そして、僕の身体からジャケットを引き剥し、シャツのボタンに指を掛けた。 その指は、僕の首からタイを外そうとして、でも、ひどくもたついて―― ああ、そうだった。 僕はあの時、スーツなんかを着ていたっけ。
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