【教科書のない人生】

2/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
でも断る勇気もない私はそのままここに来ている。 「あ、あの・・本当に私でいいんでしょうか?」 「え?」 「鈴木先生にはお話しした通り、お恥ずかしいことに、その、学歴・・が中途半端で、あの・・」 下を向いてすスカートをぎゅっと掴む。すると温かい手が両肩に置かれた。顔をあげると教頭先生が笑っていた。 「挫折した人ほど優しい心を持っている。傷を知らない人には痛みは分からない。私はそう思うわ」 「あ・・」 「15分、青葉さんらしくお話してくれるのを楽しみにしています」 初めて入る放送室。マイクの使い方を教わり、座って深呼吸。 なにを話そうか。それは考えてはいたけど、こうしてマイクの前に座ると言葉が出てこない。 「でも、大丈夫。頑張るんでしょ、カナ」 時間になりマイクのスイッチを入れた。 『皆さん初めまして。今日から毎週月曜お話をさせてい頂く青葉カナです。 人生や生き方ということを主に話していきます。まず今日は・・』 こうして私の自由な生き方、自由な時間に毎週月曜15分間の予定ができた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!