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ボランティアは週一回なので一ヶ月経ったと言ってもまだ4回しか話していないことになる。
初回は周りの反響が怖くてマイクをきった後放送室から出るのをためらった。
勇気を出して職員室に戻るとまさかの拍手をもらった。
「アリとキリギリス、誰でも知っている童話から話すなんて思わなかったわ」
アリは生きるために働くのではない、働くことが喜び。キリギリスが歌うのと根本は同じ。
ただいつ働くのか、いつ歌うか、そのタイミングは見誤ってはいけない。そんな話だった。
日曜の夜はベッドで丸まる。
明日は何を話そうか。私が伝えられることはあるのか。ぎゅっと丸くなる。
「私は中途半端な学歴しかない・・でも生き方だけは知ってるんだよね」
そっとベッドから観葉植物のみーちゃんを見る。
みーちゃんは綺麗な葉を広げて今日も見守ってくれている。
みーちゃんで何個目の植物になるのだろうか。
あの時から親に言われて育て始めた植物、今ではないと不安だ。
私がいるから・・私がいないと・・・
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