第三部:その時を待ちながら厳冬に事件が続く

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「いいか、木葉。 このタクシー会社が車体をこの朱色に塗ってたのは、2年前まで。 今は、こっちの色だ。 然も、タクシー会社には専用のナンバーが今は与えられる。 だが、こっちは一般のナンバーだ」 「あらら~、ホントだよこりゃ」 此処で、ニヤリと微笑んだ片岡鑑識員。 「お前、こんな偽装工作をしてるなんざ、絶対にヤバい事をしていなさるゼ。 あの闇組織絡みならば、間違いない」 「片岡さん、国道の映像の自動集積を、サイバー対策課にお願いします。 我々は、映像の途切れた所から脇道の捜索に入ります」 「おう、任せとけ」 其処へ。 「ズズ…。 あれ、この゙はさん?」 鼻声の女性に呼ばれ、振り向くや。 「あら、智親さん?」 マスクをする智親鑑識員が居る。 片岡鑑識員は、困った顔をし。 「おいおい、インフルを蒔くなよ」 「インフルエンザじゃあ゙りません゙~」 風邪をひいたと判る木葉刑事。 「早く帰れば?」 すると、木葉刑事に近付く智親鑑識員。 「あ゙の゙っ、御姉様のお見舞いっ」 「はぁ?」 また、ポカーンとする木葉刑事。 横から片岡鑑識員が。 「実は、鴫がインフルエンザを患ったらしい」 「あら~ま、鴫さんがね」 「実はよ。 警視庁で周りの刑事だの鑑識課の馬鹿が、インフルエンザなのに鴫の所に来てな。 それで感染しやがった」 呆れた笑いを浮かべる木葉刑事。 「ハハハ、完全に狙われてら~。 でも、あの鴫さんだから、みんなから見舞われてるんじゃないの?」 だが、何故かムキになる智親鑑識員。 「ウィルスをばら蒔くア゙タマの悪い人なんかに見舞われても゙ぉ、嬉しく無いですぅ~」 「あ~、はいはい」 あしらう流れのままに。 「んじゃ、どーするか」 考える木葉刑事に、片岡鑑識員が。 「見舞うなら、何か買っていけよ。 行くなら、半分出すぞ」 「ん~、でも大丈夫ッスかね」 「何が、だ?」 「いえね、“鴫さんは俺の彼女だ”って云う人が、何人も居るンスよぉ? 関係の無い俺なんか行ったら、勘違いされないッスかね」 この意見には、智親鑑識員が激しく反応し。 「誰がっ、御姉様のカレシな゙ん゙ですかっ!!」 鼻声で怒られても、木葉刑事だって困る。 「あのさ、帰れば…」 笑う片岡鑑識員は、それが嘘だと解っているから。 「智、はよ帰れ」 と、彼女に言ってから。 「木葉、バカの云うことを真に受けるな」
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