11人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
話をしているうちに彼の家に着いた。外壁が灰色に塗られた新しめな二階建てアパートの、一階の一室に彼は住んでいた。
「話つけてくるからちょっとその辺で待ってて」
3人も居ると思われるとちょっと交渉が難しいかもしれない。まずは私だけだと思わせて、後で残り2人も受け入れさせる。フット・イン・ザ・ドア・テクニックと言うやつだ。
インターホンを鳴らすと、すぐに彼の声と足音が聴こえ、程なくしてドアが開いた。玄関には柚が居たが、目線が虚空、私の頭の上をさまよっている。
「ねえっ!」
「?」
「こっち!」
「は?」
彼が目を擦る。幻覚だと思っているのかな。
さて・・・
交渉の時間だ。私と友達のこれからを決める運命の時間だ。
話をしよう。
―――――――――――――――――――――――
「戦犯こいつじゃねえか」
話を聞き終わった俺は雪を見た。
「素人が戯れに作った薬品を躊躇い無く飲むとかどういう神経だよ・・・」
「そうそう、大戦犯なのよ!」
心愛が同調する。
「止めなかったお前もお前だ」
「・・・ごめん」
「はあ・・・」
俺は嘆息した。以外どうリアクションすればいいのか分からなかったし。
「まあ、無事で良かったよ」
「無事・・・ではないかもですけど・・・」
「そうだけど、命があるだけで重畳だ」
最悪死んでるからな・・・
最初のコメントを投稿しよう!